就職転職・昇進昇格試験コラム3

就職試験・昇進昇格試験論文や作文の参考になるコラムです。

「敵を知る」--インフォメーションとインテリジェンス

 「敵を知り、己を知らば、百戦百勝」との孫子の言葉は、誰でも知っています。しかし、知るべき情報に実は2種類あることは、わかっているようでなかなか実践できないことのようです。

  企業であれ、人事部であれ、上司であれ、就職・転職活動、昇進運動を彼らとの戦いととらえるならば、敵情を知っておくことは是非必要です。就職活動を例に取ると、志望先の企業がどんな組織で、そこで働くことにどれほどの価値があるのか、怜悧な分析を行わなければなりません。

  現実には、その職場がどのようなところかについては、最低でも1年は所属してみなければわからないものです。しかしながら、入ってから「しまった!」と後悔する危険を少しでも減らすためには、情報を集めておいた方がいいのは言うまでもありません。事実、入社してからその企業が反社会的な組織であったり、カルトであったりすることは、交通事故に遭う程度の確率であり得ます。

  ではどのように情報を集めるか。今はインターネットもあることですし、暴露本のたぐいもちまたにあふれていますから、一見情報は氾濫しているように思われます。これを指して、「高度情報化社会」などと言うのですが、情報収集者たる我々にとっては、実はこれ、うそっぱちに過ぎません。

  なぜなら、一つには情報が多すぎて、その波におぼれてしまうことがあるからです。例えば検索エンジンで、一部上場企業の名前を入力したとしましょう。おそらく数千件のヒットがあるはずです。その全部に目を通すことは、出来ることではありません。そこで、キーワードを追加して、情報をさらに絞り込む事になるわけですが、どのような言葉を付け加えるか、そしてどの記事をピックアップするか、これはあなた自身の知力と判断力にゆだねられることになります。

  もう一つの問題は、どの情報がどの程度正しくて、役に立つのか、そのままではわからないところにあります。「高度情報化社会」が最もその欺瞞性を発揮するのがこの点です。つまり、有力な情報=価値ある、価値を生み出す情報を、ただで流すお人好しがいるわけがないのです。昨今の風潮に乗せられて、「何でもただでGET」などという知的な意味でのだらしなさを身につけてしまうと、この点なかなか抜け出すことは出来ません。本当に役に立つ情報が欲しいなら、それなりの対価を支払う用意がなくてはなりません。これは同時に、あなたがこの活動に対して、どれほど真剣なのかを示すバロメーターでもあるのです。

  ただし、一見「クズ」情報のように見えても、その背景を洞察する目さえあれば、たちまち有力な情報に早変わりします。あえて例は挙げませんが、相場師など情報で飯を食っている人々は、他人が気付かない些細な情報から、大きな意味を見いだして、相場を張っていくのです。彼の判断の背後にあるのが、自身の経験とそこから導き出された原則、つまりは知力にあることは、先ほどの「絞り込み能力」と変わるところはありません。

  雑多な生のデータも、整理され判断された結論も、日本ではひっくるめて「情報」と呼び慣わしていますが、この二つは全く似て非なるものです。英語では前者をインフォメーションと言い、後者をインテリジェンスと言うのですが、この違いについてはすでに20年ほど前から、ノンフィクション作家の落合信彦氏が強調していました。当時は色物としか受け取られなかったこの主張は、世相が厳しくなった今になって、やっと日の目を見るようになったと言えましょうか。

・講座開始のご案内 (2010/1/15)  ≫詳細