就職転職・昇進昇格試験コラム8
就職試験・昇進昇格試験論文や作文の参考になるコラムです。
「言うべきこと」
作家の司馬遼太郎氏は、代表作「坂の上の雲」で主人公の一人に、人生の意義についてこう言わせています。
「若い頃は何をしようかということであり、老いてからは何をしたかということだ。」
これは、就職活動についても全く当てはまる言葉です。
初めて社会に出ようとするみなさんにとっては、志望する業種なり職種なりが、「これから何をしようか」にあたります。そして、志望先に訴えるべき第一のことは、どうして「何をしようか」と考えたのか、なぜ「何」でなくてはならないのか、とのことに尽きます。
自分が目指す「何か」ならば、それに向けてどのように準備をしたか、必要とされるいかなるスキルを身につけてきたか、これが第一を補い、説得力を増すために語るべき第二の要素です。
残念ながら、学生時代に身につけうる職業訓練の程度は、たかが知れています。ですから、第二の要素は、あくまで副次的な意味しか持ち得ません。逆に言えば、第一の要素が完璧であれば、さほど身につけたものがなくても逆転しうる、ということでもあります。
第三に述べるべきことは、第一と同じくらい重要です。
それは、「今まで何をしてきたか」ということです。
知力、体力、精神力、そして人柄、この基礎の上に、第一、第二の要素…つまり様々な能力や望み--どこを志望するかもその一つです--が乗っかる以上、あなたが何者であるか、いかに企業にとって有益であるか、これを採用担当者に知ってもらう必要があります。
そしてこれらについて、最も説得的に語り、最も同意を得た人から、企業は採用していくのです。
エントリーシートや面接では、第一(と第二)を志望動機といい、第三を自己PRと呼んでいます。この二つをひねり出すため、苦労を重ねているみなさんもおいでかと思いますが、ことはそう複雑ではありません。たった2つ(+1)のことなのです。
今は初めての就職活動を例に挙げましたが、実はこれ、転職や昇進試験でも全く同じです。
転職の場合は、
「何をしようとしているのか」=志望動機・前職をやめた理由
「何をしてきたか」=自己PR、そしてこの場合は身につけたスキル
昇進試験の場合は、
「何をしようとしているのか」=なぜ昇進を望むのか、昇進して何をしようとするのか
「何をしてきたか」=今までどのように業務を行ってきたか、どのようなスキルを身につけたのか
これらのことが、課題として問われようとなかろうと、この根本がしっかりしていなければ、成功の確率は下がります。
相手を説得すること。同意を得ること。共感してもらうこと。
そして、そのために言葉を操ること。
コラムのはじめに、「就職活動とは、自分を商品とした営業である」と申し上げましたが、これは言い換えると、長い長い説得の作業過程なのです。