実用論文・作文のツボ-就職転職・昇進昇格試験のために(24)

過去のWIE実用論作文の添削コメントから、就職試験・昇進昇格試験論文や作文の参考になるものを集めました。

-コラムのまねはしてはいけない就職・昇進・昇格試験論文・作文の書き方

…大変申し上げにくいのですが、この文案には問題が多々あり、全面的に書き直す必要があると存じます。つきましては以下コメントを申し下ますので、ご参考になさりながら、今後取り組まれますよう、お勧めいたします。

1)論文としての形式の問題
 論文はコラムではありません。与えられた課題に対し、自分の考えをまず述べ、どうしてそのように考えるのか、説得を行うための文章です。
 従って、誰もが知っているような内容を書いたり、自説と関係がないような事柄を述べるのは、絶対、とまでは申しませんがしてはならないと心得てください。また、自説の証拠、根拠を述べるに際しても、安易に事例を取り上げるのは考え物です。本当にこれを述べることによって、自説を補強することになるのか、じっくり考えてから取り上げるかどうかを決めなくてはなりません。とある事柄を突き詰めて考えるのは、なるほど面倒な作業ですが、この点があいまいですと全く評価の対象にならなくなってしまいます。
 逆に申せば、このようなところに、書き手の知的能力が現れることになり、また同時に読み手がそれを評価するわけです。「文は人なり」と一般に言いますのは、ただ古いことわざとしてではなく、現実にそう評価されるから気を付けろ、との警句なのです。ゆめゆめおろそかにしてはなりません。
 失礼ながら答案文を拝見しますと、安易に事例を書き込んでしまっているのが見受けられます。好意的に評価しようとすれば、その意図は買えるのですが、理屈としておかしなことを書いてしまえば、文そのものを良いものとして受け取ることは出来ないのです。ましてや提出先は応募者を「落とす」ために文を読むのですから、その好意を期待することは出来ません。従って論述の際、この点には十分に留意してください。
 参考ながら、論文の一般的形式とは以下のようなものです。
①与えられた課題に対して、自分はどう考えるのか、まずそれを手短に述べる。
②どうしてそのように考えるのか、理由、理屈を述べる。
 たったこの二つです。課題に即して言いますと、文の書き出しは「○○(テーマ内容)とは、…であると考える。なぜなら…。」のように(必ずしもこれと同じでなくともかまいませんが)なるはずです。

2)文体と国語力の問題
 次に気になりますのはこの点です。直裁に申しまして、答案文は新聞のコラムなどの文体をまねし、それを適当に切り貼りしたような印象を与えます。また、誤字が多いのも気になりますし、用いる言葉も所々幼さが目立ちます。
 総じて文を書く際には、自分の身の丈にあった内容と言葉の言い回しを用いなければなりません。さらに、書いた後の読み返し・校正は絶対に必要なことでして、誤字があるというのは論文うんぬんを議論する以前の問題です。もし国語力に自信がおありにならないのでしたら、必ず辞書を傍らに置いて書くべきなのです。これまた面倒な手間ですが、それをさけて通る訳にはいきません。
 また、言葉の用い方についてもいささか留意すべき点があります。例を挙げますと、「動物の保護、つまり環境保全が必要である」との部分です。「つまり」と言うからには、「環境保全」=「動物の保護」となりますが、「環境保全」そのものが、全く「動物保護」と同じ意味内容とは限りません。
 重箱の隅をつつくように思われるかもしれませんが、言葉を言い換えるというのは、わかりやすくするか、あるいは説得力を増すために行うもので、その必要もないのにこのような意味のない言い換えをしても、全く無駄であるばかりか、かえっておかしなことを述べ、印象を損なう結果になってしまうのです。これは挙げる事例を考えるのと同様、漫然と字数を埋めるために適当な言葉を並べるのは、厳に慎まなくてはなりません。
 おそらく文を書く際に、新聞のコラムなどを参考とされたと拝察しますが、お手本の文を自分として十分消化出来ないままで、その文体を用いるのは危険です。また冒頭に申しましたとおり、コラムはコラムであって、そのままでは論文の参考にはならないのです。
 従いましてお勧めしますのは、借り物の文体ではなく、ご自身の言葉で文章をつづることです。重要なことですのであえて繰り返しますが、いくら新聞などに載っている文章が「かっこよく」見えたとしても、それが自分の文章として使いこなせないなら、かえって文の力を殺いでしまいます。ましてや論文の目的は、「自分の意見を述べること」ですから、借り物の文体で説得力を持たせることなど出来ないのです。書き出しの形式、体言止め、誰もが知っているような事例など、新聞同様の書き方はやめて、いかなるものでもいいですから、まず自分の言葉で文をつづる練習をしてください。

 

以上、まとめますと、
①自分の意見、言いたいことを深く考え、正確にまとめる。
②そのことを自分の言葉で文章にしていく。
 この二点につきると拝察します。

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