慶応SFC添削コメント例[環境情報]14年

このコメントは、WIE小論文navi添削講座慶應SFC小論文で実際に行われたものです。


●本年度の環境情報学部の小論文は、例年にも増して、資料の内容把握が重要になっています。問題3では、編集者として読者に伝えたいことを述べるわけですが、これを軸に編集方針を定め、本に収録する文章を6つ選ばなければなりません。一方で3つの文章を除外することになるのですが、これは、気分で決めるのではなく、編集方針にふさわしくないという理由で除外したことを、問題2で説明しなければなりません。これには、編集方針にふさわしいかどうか判断できるまで、資料として与えられた9つの文章の内容把握をする必要があります。

●提出していただいた答案を拝見しました。まず、問題1については、おおよそ資料が読めているものの、やや読解が甘いと申せます。次に、問題2については、概して良くできています。続いて、問題3については、編集方針と具体的な編集方法に齟齬(食い違い)があるので、大きく減点されます。最後に、問題4については、問題3で失敗した影響で、大きく減点されます。
 それでは、早速ですが、答案に沿ってコメントします。

■ 答案に書き入れました赤字が改善すべき点です。abc……の記号に対応するコメントは下段に記入してありますので御参照ください。記号のない箇所については、単純な誤記や分量調節のためのものです。

問題1
 解答者なりの問題意識に基づいて資料を読み、タイトルを付けてください。出題側が設問文の冒頭で説明しているように、「シリーズ『地球と人間』」のうちの一冊になるわけですから、資料のタイトルを付ける際にも、「地球」あるいは、「人間」と関連の強い概念に注目するのが好ましいと申せます。
 後ほど除外する3つの資料については、「地球」や「人間」の観点に注目してタイトルをつける必要はないものの、本に収録する6つの文章については、タイトルをつける際に、必ず「地球」あるいは、「人間」と関連の強い概念を盛り込みたいところです。



a 「地球」の観点として、「川」が盛り込まれているものの、資料で言及されている「人間」の視点が欠落しています。修正例はあくまで一例であるものの、「人間」の視点も盛り込むようにしました。

b これは、よく書けています。「地球」の視点として、「環境レジーム」が盛り込まれており、人間の視点として「促進」が盛り込まれています。

c これも、よく書けています。「人間」の視点として「信用」が盛り込まれています。なお、提示するタイトルには、「地球」の視点が欠落しているものの、資料Cがそもそも「地球」の視点が欠落しているので、問題とはなりません。

d これも、このままで問題ないでしょう。

e 資料の端的なまとめとは言えず、資料の読解が非常に甘いと申せます。修正例はあくまで一例であるものの、私ならこのようにタイトルをつけます。

f 資料の端的なまとめとは言えず、資料の読解が甘いと申せます。震災復興の観点も、盛り込んだタイトルにするべきでしょう。これについては、様々な解答がありえるので、解答者自身で考え直してみてください。

g 「地球」の観点だけでなく、「人間」がどのように関与しているかについても言及したいところです。

h 「地球」の観点にあたる「オゾンホール」だけでなく、「人間」の観点を盛り込みたいところです。

i これは、よく書けています。「地球」に言及しているだけでなく、「人間」の視点として「経済」が盛り込まれています。


問題2
 あらかじめ、除外すべき3つの文章が決まっているわけではありません。問題3に示す編集方針に従ったときに、ふさわしくないもの、あるいは、重要性の低いものを、3つ除外することになります。細かい部分では、減点される箇所がありますが、答案の趣旨としては、これで良いでしょう。



a 小問ごとに解答を作成してください。解答欄と解答内容が合致していないと、全く得点にならないことになるので、この点には特に注意してください。

b 問題3に示した編集方針と、整合性があります。この点は素晴らしいと申せます。

c より簡潔に、同様の内容を表現できます。

d この設問では、解答者の考えを述べることを要求しています。従って、引用した考えと誤解される恐れがないときは、解答者の考えであることを、わざわざ強調する必要はありません。


問題3
 編集方針と、具体的な編集方法に齟齬(食い違い)があるため、大きく減点されます。



a 段落冒頭は、一マス分のスペースを設けてください。長文を書く際のルールです。

b まわりくどい説明になっています。より簡潔に説明するようにしました。

c 段落を改める際の原則は、あくまでも「書き込んだ内容」=「書く前に頭の中で整理した視点や問い」が変わる箇所で入れる、と心得てください。無意味に改段するのは、読み手が文の論理を把握するのを妨げ、文の評価を下げますので有害です。また文脈が大きく転換しているにもかかわらず、段を改めないのは、同様に有害です。
 なお1段落は150字程度とするのが効果的であると、経験的に分かっています。これは形式的な問題ではありません。この制限を課すことによって、適度に改段しつつ、無用な記述を行わないようになり、読み手に理解しやすい文章が書けるようになります。文意の明瞭化と構成の容易化に、その効果は大きいですから、段落の字数をこのようにするようにしてください。

d 文脈がとぎれています。適切なつなぎの言葉(文法用語に言う「接続詞」だけではありません)を用いてくっつけることが必要です。観念(=「これを書こう」という思いつき)は他の観念と関連づけませんと、概念(=他の思いつきと結びつけられた、文中で取り上げたものごと)にはなりませんが、文もこれと同じで、おのおのの文が適切に結びつけられていなければ、文章にはなりません。従って、前の文あるいは段落と、後の文あるいは段落がどのような関係になっているかを、つなぎの言葉を用いて読み手にわかりやすく説明しなくてはならないのです。
 例えば、「今日は快晴だ。収入印紙を買う」という2つの文は脈絡がなく、文章とは言えません。しかし、「今日は快晴だ。(先日申請したパスポートを受け取りに行くには都合が良いので、そのための)収入印紙を買う。」ならば、2つの文の関係が見えるようにつながっていますから、文章といえるのです。
 このように、文同士、段落同士が適切につながって、一連の流れがあることを「文脈がつながっている」と言いますが、達意の文となるにはこの作業が不可欠なのです。
 そもそも、すべての文(文章内の各一文)、ならびに段落は、必ず直前もしくはそれ以前の記述と結びついていなくてはなりません。これを軽々に考えないで下さい。自分がわかっていることと、読み手に読み取れることとは、全く異なります。同時に、読み手に読み取れるよう記述を整理し、配置することが、とりもなおさず状況の整理=自分で理解すること、にほかなりません。読み取れないような文を書くということは、自分でも、そのものごとを正確に把握できていないことを意味するのです。
 前後の関係をよく考え、それらをつなぐ、適切な言葉を補って下さい。

e 答案冒頭で述べた内容と対応するのは、第一部に収録される内容に限定されます。

f 説明を補わないと、第二部の目的がわかりません。

g 「そして」は、前後の文の関係を曖昧なまま済ます接続詞であるため、論文で「そして」の利用は控えるべきです。論文は、書き手の考えを論理的に読み手に説明することを目指すものなのです。

h 助詞の用い方を丁寧にしましょう。たった1字ですが、内容を読み手にわかりやすく伝えるための工夫です。

i この設問では、解答者の考えを述べることを要求しています。従って、引用した考えと誤解される恐れがないときは、解答者の考えであることを、わざわざ強調する必要はありません。


問題4
 全体のシリーズは、『地球と人間』なので、タイトルには、「地球と強く関連する概念」及び、「人間と強く関連する概念」を盛り込み、さらに、この両者の関係を示すようにすべきでしょう。
 また、設問間の整合性を考慮して、ここまでに示した編集方針を、簡潔にまとめたものをタイトルとすべきでしょう。
 提出していただいた答案は、問題3で失敗した影響で、大きく減点されます。



a 編集する本の「第二部」に盛り込まれている内容が、本のタイトルに反映されていません。「個人の行動」についても、タイトルに反映させてください。


 以上を踏まえて、答案を修正して提出してください。
 再提出の答案を心よりお待ちしています。


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