慶応SFC添削コメント例[看護医療]15年

このコメントは、WIE小論文navi添削講座慶応大学小論文(論述力試験対策)で実際に行われたものです。


●提出していただいた答案を拝見しました。まず問1については、大筋で設問の要求に応えているものの、最後の部分の記述が設問の要求から逸脱しており減点されてしまいます。設問の要求の範囲内で答案を作成してください。
 次に、問2については、答案前半部で設問の要求と関係ないことを説明しているのが大きな問題となります。提出していただいた答案は、設問に応えるための十分な情報を、課題文から抽出して説明することができていません。
 最後に、問3については、設問の要求と関係ないことを論じており、採点対象外(=0点)です。設問の要求を正確に把握することに努め、その上で、設問の要求に対応した答案を作成することに専念してください。

 

●以下では、設問ごとに検討します。

■ 答案に書き入れました赤字が改善すべき点です。abc……の記号に対応するコメントは下段に記入してありますので御参照ください。記号のない箇所については、単純な誤記や分量調節のためのものです。


問1
 課題文の筆者が定義する「経験」と「体験」の違いを説明することが求められています。大筋で設問の要求に応えているものの、最後の部分の記述が設問の要求から逸脱しており減点されてしまいます。設問の要求の範囲内で答案を作成してください。



a 課題文独自の定義ですから、そのことを明示したいところです。

【修正例1】
 「体験」とは、
(注)かぎ括弧をつけることで、設問との対応関係が明確になります。

【答案例2】
 課題文の筆者のいう「体験」とは、
(注)このような説明が最も丁寧です。ただし、相当の字数を要する弱点があります。

b 課題文独自の定義ですから、そのことを明示したいところです。
【修正例1】
 「経験」とは、
【答案例2】
 課題文の筆者のいう「経験」とは、

c 課題文の筆者独自の定義に従った「体験」であることを示すように、カギ括弧をつけたいところです。

d 設問の要求と関係ない記述なので、削除してください。この部分の記述は加点されないだけであればまだ良いのですが、設問の要求を正確に理解していないとして、減点対象になる恐れすらあります。


問2
 答案前半部で設問の要求と関係ないことを説明しているのが大きな問題となります。提出していただいた答案は、設問に応えるための十分な情報を、課題文から抽出して説明することができていません。また、このことで問3の解答にも悪影響を与えています。



a 設問の要求と関係ない記述なので、削除してください。

b 答案a部分の削除により字数に余裕が生まれるので、より丁寧に説明してください。私なら、課題文の次の記述に注目します。

・このように、経験というものが過去に凝固して、それが絶えず自分の中で繰り返されるという過程をとる、それが体験です。しかし、その根本は、経験がいつも新しく名辞を定義するという思想行為が不必要になっている。それを私は凝固というのです。

引用した箇所は、「体験」の凝固に関する説明であるものの、下線部の箇所で、「経験」で必要となる思想行為を説明しています。より丁寧に説明すれば、「経験」では、「経験がいつも新しく名辞を定義するという思想行為を伴っている」、ということです。このことを、問2に盛り込みたいところです。

 また私なら、課題文の次の記述にも注目します。

・けれども、ほんとうの経験というものはそうではない。本質的にそうではないと思うのです。絶えず、そこに新しい出来事が起こり、それを絶えず虚心坦懐に認めて、自分の中にその成果が蓄積されていく。 

 下線部の「蓄積」は重要概念です。これまでの古い経験に加えて、新しい経験を加えて「蓄積」していくのであり、新しい経験を手に入れることで、古い経験を忘れてしまう、あるいは、古い経験をないがしろにする、という意味ではありません。


問3
 設問の要求と関係ないことを論じており、採点対象外(=0点)です。設問の要求を正確に把握することに努め、その上で、設問の要求に対応した答案を作成することに専念してください。


a 設問の要求と関係ないことを論じており、採点対象外(=0点)です。提出していただいた答案には、「具体例」がありません。

※具体例の提示や、具体例の説明を通じて、課題文の筆者が述べる「経験というのは、あくまで未来に向かって開かれる」の意味を、正しく理解していることを示してください。


 以上を踏まえて答案を修正してください。
 再提出の答案を心よりお待ちしています。


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