慶応SFC添削コメント例[総合政策]16年

このコメントは、WIE小論文navi添削講座慶應SFC小論文」で実際に行われたものです。


●添削を担当する中島です。よろしくお願いします。

●詳しくはテキストの解説を参照していただきたいのですが、本年の出題では、総合政策学部で実際に行われている研究と、非常に近い思考の手続き及び作業を実践することを要求していると申せます。
 この出題の面白いところは、将来予測について自説を提示させるだけでなく、自説の正しさを確かめる方法を提示することを要求している点にあります。答案の中の議論に閉じていない点は、大変ユニークであり、SFCらしい良問ではないかと思います。

●提出していただいた答案を拝見しました。設問の要求に応えたほぼ文句なしの合格答案です。解答者のこれまでの努力が答案のデキに反映されていると申せます。慢心は、禁物ではあるものの、この調子で実際の試験に臨んでいただきたいと存じます。
 答案のデキが大変よいため、修正すべき箇所は、少なくなってしまうのですが、以下では、答案に沿ってコメントします。

■ 答案に書き入れました赤字が改善すべき点です。abc……の記号に対応するコメントは下段に記入してありますので御参照ください。記号のない箇所については、単純な誤記や分量調節のためのものです。


問1
 注目した論点について、関連する資料の要約をすることが求められています。要約の内容そのものは、大変優れているものの、答案作成の手続きに一部不備がありました。


a どの資料の要約かを明示してください。大学側が設定する採点基準によっては、大きく減点される可能性があります。


問2
 問1に示した要約を踏まえて資料間の比較を行っており、問1と問2について、設問間の整合性を考慮できています。高得点が期待できる答案となっています。
 ただし、一部ではあるものの、設問の要求から外れた記述がありました。


a 設問の要求から外れているので、削除してください。答案をこのように改善することにより字数に余裕が生じます。この字数の余裕に応じて、設問の要求に応えた内容について、現在の答案よりも記述を充実させてください。


問3
 設問の要求に応えた文句なしの合格答案です。問2の解答と矛盾や齟齬がなく、問2と問3について、設問間の整合性を考慮できている点も素晴らしいと申せます。


※ 修正すべき箇所はないので、答案に沿った具体的コメントは省略します。


 ★答案の水準が極めて高いので、別解の作成を再提出課題とします。

【再提出課題】
 問1で、③高齢化ではなく、①国際比較、あるいは、②職業の世代間移動に注目して、解答を作成してください。また、以降の設問である問2と問3については、設問間の整合性に注意して解答を作成してください。


 以上を踏まえて、別解を作成して提出してください。
 再提出の答案を楽しみにお待ちしています。

【通信欄について】
 解答者は受験生であり、まだ志望先の大学・学部に合格しているわけではないので、不安な気持ちを持つことは、ごく自然なことです。大変厳しいようですが、どのような対策をしても、不安な気持ちがなくなることは決してないので、その点では諦めてください。また、不安な気持ちを否認したり、隠したりする必要もありません。
 ただし、不安な気持ちに支配されない(あるいは、頭の中がいっぱいにならない)ようにすることは、極めて重要です。なぜなら、不安な気持ちになることそれ自体は、合格の可能性を高める上で役立たないからです。さらに言えば、不安に思う気持ちに支配されてしまうと、精神的に弱ることで、集中力が低下し、合格する可能性が下がってしまうので、不安な気持ちがあることを認めた上で、その不安な気持ちを流してしまうことが肝要です。
 解答者がこれから考えて実践すべきことは、少しでも合格可能性を高める努力です。これには、「①小論文の正しい作成手続きを確認しておくこと」と、「②体調を整えて、優れた健康状態で当日の試験で集中力を発揮できるようにすること」の二点が重要でしょう。
 なお、解答者が不安に感じる原因として、解答者が小論文試験の難しさや怖さを良く理解していることを挙げることができます。小論文を作文の延長だと思って小論文試験を舐(な)めている受験生は、まだまだ多いですから、そうした意味で解答者は相当有利な位置にいると申せます。
 通信欄で「課題文を読み違えたらどうしようという不安」があることを述べていますが、こうした不安を持つことができるのは、課題文を読むことの重要性を、解答者が強く認識している証(あかし)であり、解答者の小論文学習が捗(はかど)っているからだと申せます。こうした不安があれば、本番の入試でも課題文を(時間の許す範囲で)丁寧に読もうと心かげるでしょうから、不安に思うことは、悪いことばかりではありません。是非とも、本番の試験でも、設問文をヒントにして、課題文の内容を読み解くようにしてください。
 通信欄によると、河合塾で模試(早慶オープン)を受けたとのことですが、よい経験になったと思います。なぜなら、本番の試験で何が起きるか予測するのに役立つからです。「周りのシャーペンの音」が気になることは、実際に模試を受けないと気づきません。試験時間開始当初から答案を書き始める受験生が結構いるので、早く答案を書き始めないといけないのではないかと焦る気持ちを持つのは、ごく自然なことです。ただし、これは罠です。
 実際の試験でも、試験開始後すぐに、解答作成を始める人たちがいるでしょうが、焦らないようにしてください。(他者の筆記具の音は案外気になるものです。)。なぜなら、こうした人たちは、設問の要求を理解していないので、解答者と合否を争うライバルではないからです。合格する可能性のほとんどない受験生が、試験会場に来ているということは、案外盲点になるかも知れません。解答者の本当のライバルは、じっくりと設問の要求を吟味してから答案を作成する受験生です。
 もちろん、試験時間中に書いたものしか評価されないわけですが、「焦ったら負け」です。「落ち着いて考えをまとめること」が何より重要です。特に、入学試験では緊張により、集中力が高まり、嫌でも普段より思考速度がはやくなるので、決して焦る必要はありません。
 解答者は、現在相当の小論文作成能力があります。現在の解答者の力を大学側に評価してもらうという謙虚な気持ちで入学試験に臨めば、必然的に良い結果が得られる公算が高くなるでしょう。大学側は、大学で勉強する準備ができているかや、入学後の伸びしろがあるかどうかを試しているのであり、大学卒業程度の完成された知性を求めているわけではありません。解答者のライバルのほとんどは、高校を卒業したばかりの人たちであり、添削を担当した私のように、大学を既に卒業した者ではありません。己に無理に高いハードルを設定せずに、入学試験に挑むようにしてください。


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