自身の取り組み

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自身の取り組み

 経営環境が大きく変化する中、我社が今後大きく飛躍するには、仕事の目的に立ち返り、自分で考えて行動し、仕事の質を高めていく必要がある。自分の担当業務において、自分で考えて行動し、仕事の質を高めた取り組みについて具体的に述べなさい。


文例案

 私はX開発部に所属して、製品Bのセンサーの開発に従事している。この部署では、より高性能なセンサーをより短期間で開発することが目的である。このことが、競合他社よりも先に高性能な製品を市場に投入できるのである。

 我社の経営環境は大きく変化し、収益の柱である現行事業では、同業他社との競争が激化している。このため商品サイクルが短くなり、製品開発では新技術をいち早く製品に実装し、他社よりも早く市場に投入しなければならない。

 私が直接関わるB市場は、別製品の普及などで縮小しつつある。このような環境変化に対して、より有望な新規分野を開拓するだけではなく、B市場の中でも、成長の可能性が高い分野には積極的に参入すべきである。

 例えば、新製品B'は、市場拡大が続いている。我社はこの分野に有力な商品がなく、競合や他社に後れを取ってきた。しかし、昨年度は有力な新商品の投入に成功し、今期も引き続き好成績を上げている。これは、自部署として仕事の目的に立ち返って質の高い仕事をすることで得られた成果である。こうした成果の集積が、我社を大きく飛躍させる。

 私が直接担当しているのは、現センサー製品化で生じる問題の解析である。具体的には、試作品が当初目標に沿って、従来品より特性が向上しているか、あるいは新機能が仕様通りの性能を発揮しているか、などの見極めを行っている。そして目標・仕様通りの性能を出していなければ、原因を解析し、対策を講じる。

 ここで、私の担当する仕事の目的に立ち返ると、克服すべき技術課題を正確に把握し、それを整理して各担当Grに伝えることである。これを通じて、各Grが問題の見落や作業の重複、手戻りなどを無くし、業務の効率化を進められることである。この目的に沿って私が考えたことは、担当者による定例会議の開催である。

 この会議には、デバイス開発本部の担当者だけでなくセンサーの供給先であるB部門の担当者を含めた。各部門間の調整は、製品ファーストで考え、早くしかも高性能な製品を完成させるためにどうすべきかを、絶えず意識することとした。

 私個人では、会議で製品化期限までにやるべきことをリスト化した。その上で、期限から逆算して各担当が達成すべき役割を明確にした。従来は各部門がそれぞれ固有の問題をバラバラに会議に持ち込んでいたが、今後はプロジェクト全体の仕事を一括して管理することが可能になった。

 さらに、業務の優先順位にも留意した。多くの部門に関係する、あるいはそれが解決しなければ次の工程に取りかかれないと言った優先度の高い仕事と、比較的優先度の低い仕事を仕分けるようにした。そして、優先度が低い仕事は、完成度を追究せず簡単に済ませ、優先度が高い本質的な製品化課題に重点的に取り組むようにした。

 こうした部門間で業務の連携・調整を進める際、私が特に留意したのは、各個別のチームでの部分最適な技術ではなく、プロジェクト全体で最適となる技術開発である。センサーは、製造プロセス、デバイス、回路など様々な技術を総合することで完成する。そこでは回路部門にとって技術的に最適な方法が、製造部門にとっても最適とは限らないのである。

 その一方で各部門の専門性を無視して、達成目標を全体会議から各部門に強制しても、よいものは生まれない。各部門が相互に理解し合い、部門の枠を超えた全体的な視点に立つことが肝心である。それには、円滑なコミュケーションによる情報共有が不可欠である。

 この情報共有に向け、私は会議での検討結果を各Grに伝達する際、簡潔な共通言語を定義して、各部門が内容を理解しやすくした。さらにこの共通言語を各Gr毎の技術水準に対応させることで、検討結果や進捗状況が迅速かつ正確に共有されるようになった。

 その結果、今まで不十分だったGr間の議論が活発になり、互いの技術視点から協力できるようになった。さらに進捗確認は毎週行い、遅れている場合はフォローを行った。このこともまた、短期間での開発成功に結びついた。

 これが成果を上げた例として、センサーに起因する問題△の解決がある。私の所属部署で原因を解析し、不具合モデルを提示し、対策方針を立てた。これに基づき、設計部門では不具合モデルに沿った回路設計変更を行い、B部門では問題△を補正するシステムについて検討してもらった。プロセス部門では、不具合箇所に対する工程変更を、テスト部門では問題△の定量化と良品/不良品判別のテスト導入をお願いした。さらに、各Grと定期的に連絡を取って調整を図ることで、迅速に課題の克服ができた。

 このように、仕事の目的に立ち返って考えることで、より質の高い業務が可能となった。私の所属部門が情報の発信源となり、各 Gr が互いに協力し、力を発揮できる開発体制が確立された。この結果、課題を残さずに製品化を達成できただけではなく、重複など無駄の排除で、前製品と比較し2/3の工数で済んだ。開発機関の短縮とコストの削減を同時に達成できた。

 しかし残された課題もある。一つ目は、部門間の情報共有により、魅力的な提案や問題提起がされたが、製品完成を最優先したため、十分な検討ができなかったことである。二つ目は、人材の育成である。若い世代には、所属部門で必要な知識や技術だけではなく、開発を効率的に進める方法や新しい技術分野にチェレンジしていく考え方を磨いもらいたい。今回、私の所属部門では業務の進捗チェックや目的意識の確認をすることで、こうした考え方の糸口は与えることができた。今後は、他部門とも協調しながら、若い世代に我社に飛躍をもたらす企画を立案する力を身につけさせたい。(2322字)

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