WIEの考える志望理由書対策

好きだからこそ、調べる

志望理由書で聞かれていること

志望理由書(動機書)の問いは、いうまでもなく明らかで、それは「なぜ志望したのか」です。しかしこれは出題側からみると、「なぜあなたは、我が大学のこの学部学科に適した受験生と言えるのですか?」との問いでもあるのです。

言い換えるなら、世界でただ一人の受験生と、同じく世界でただ1つの大学・学部学科の間に、どれほど深い関係があるのか、それを示して下さいということです。これを勘違いして、いくら熱意なるものを示そうと、志望するきっかけになった劇的な事情を述べようと、全く無意味だと理解して下さい。

志望理由書では、何をしなければならないか?

従って正しい志望理由書を書く準備とは、まず志望先についてよく調べること、同時に、これまでの人生を振り返り、志望に至った自分の事情を探り当てることです。調べ上げたら両者を比較して、その間をつなぐ論理的な関係はないか、考えてみるのです。論理の基本は「AだからB」ですが、ここからみて、志望理由書もまた、作文ではなく数学に近い関係があることにお気づきでしょうか。

この論理的な関係は、志望先と自分、両方を調べれば調べるほど、つながるポイントが見つかるはずです。つまり、調べた作業に比例して、より説得力のある志望理由書が書けるわけですから、どれほどこの作業が重要か、これなしでは何をしようと合格に至る力を持たないか、おわかりいただけるでしょうか。

あるいは、いくら調べようと、両者をつなぐポイントが見つからないか、文章にしてみたところで、さほど書けない事柄しか見つからないかもしれません。その場合はあるいは、志望先そのものを見直す必要があるでしょう。

もしそれでもなお、そこを志望するというのなら、今からでも遅くはありませんから、本番まで、できるだけ志望先につながるあれこれを、自分でやってみることです。もう1つの道は、本当に志望先につながる事情が自分にないのかどうか、頭を絞って考えてみましょう。

熱意とは、何か?

それと同時に志望理由書では、繰り返しますが志望先の情報を十分に、集めなくてはなりません。
例えば、「自分の家は酪農家で毎日牛の世話をしながら育った。加えて私は家業を継ぎ、家族を養うためより発展させなくてはならない。しかし家には財政的な余裕がなく、地元の国公立大学に進学するしかない」というのが自分の事情であるなら、「地元にある公立大学で、酪農についてこれこれという教育を行い、これまでこのような優れた酪農家を育成し、あのような最新の酪農技術を研究している」という、志望先の事情です。

志望先の事情を調べる、この作業そのものが、熱意がある証拠に他なりませんし、志望先の情報がふんだんに含まれている志望理由書を見れば、大学の先生方も「お、よくウチのことを知ってくれている」と感心するわけです。これこそ、志望理由書で示すべき熱意であって、それなしでいくら調子のよいほめ言葉を連ねようと、それは読み手をうんざりさせる効果しかありません。

これは、ごく当たり前の、人と人とのつきあいと同じです。自分たちのことをよく知ってもくれない人を、新たな仲間として迎えようと考える人がいるでしょうか? しかも志望先の事情を調べる作業は、文章を書くためだけでなく、面接にも必要なのです。