WIE小論文navi:慶応大添削コメント例[文学部]04年(1)
このコメントは、WIE小論文navi添削講座「慶応大小論文(論述力試験・論文テスト)」で実際に行われたものです。
大学別小論文(慶大・文) 04年-2回目
(添削コメント)
お久しぶりの小論文提出ですね。ご丁寧に近況などお知らせ頂き、ありがとうございました。早稲田大学で、充実した毎日を過ごしておいででしょうか。大学ではレポート提出などもありますから、高校の時と比較し、格段に「文章」を評価される機会が増えてきます。ですから、文章表現力を高めようと努力されるのは、賢明なご判断だと思います。提出期限まであとわずかですが、頑張って取り組んで下さいね。
さて、お送り頂いた小論文答案ですが、初回の添削に基づき、おおむね良い方向に修正できていると存じます。ただ、まだまだ修正の余地はあります。今回の小論文添削をもとに、文句なしの合格小論文を目指して下さい。
それでは、個々のコメントです。
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*:おそらく、「筆者」でも問題はないでしょう。ただ、設問内に「鈴木さん」とあることを勘案すると、答案でも「鈴木さん」という呼称を用いた方が、より設問の指示に沿った小論文解答と評価されることになりそうです。些細なことですが、「設問の指示を守る」という小論文の基本をご紹介したく、コメント致しました。
a:発信する相手は「外国」ですが、英語の授業内容についての話であること、また「国際補助語である英語で」との記述があることから、ここは「外国語」ではなく、「英語」とするべきでしょう。細かいと思われるかもしれませんが、こういうところから小論文の論点がずれたりもしますので、注意が必要です。
b:課題文では、「表現」するだけでなく、「発信」することの方に重点が置かれていますから、ここはより重要概念である「発信」の方を小論文で取り上げるべきです。
c:次段落の情報が大幅に不足しており、説明を補わなければならないのですが、単純に文字量を増やしただけでは、小論文の制限字数を超過してしまいます。これを避けるためには、小論文答案内のどこかの内容を削って、字数の余裕を確保しなければなりません。
ここは筆者の見解に賛同する部分であり、反論を要求されている小論文としては、あまり重要ではない部分と言えます。従って、この段落単独では問題はないのですが、小論文全体の内容を勘案するに、大幅に削る必要があると考えます。例えば、以下のように。
確かに日本は現在、科学技術のみならず、アニメや漫画などのコンテンツ産業の分野でも、外国に向け、自国のことを英語で発信する立場にあると言える。※しかし私は、筆者が提案する授業内容が、実情に即しているとは思わない。なぜなら、この能力を養うためには、英語圏の文化や生活習慣を英語で学ばねばならないと考えるからだ。(153文字)
なお、※より先は次段冒頭の内容です。この結果、3行ほど余裕ができます。
d:cでも触れましたが、説明不足です。なぜ「日本の情報を英語で発信する場合、どうしても英米の文化に裏打ちされた、英語独特のニュアンスを知っておく必要がある」のでしょうか。ご自身には自明のことでも、それを読み手は知らないかもしれないのです。ご自身の見解を読み手に理解してもらうためには、面倒でも「何を言っているのか、また、それはなぜか」を明確に説明しておかねばなりません。例えば、こんなふうに(あるいは、A様の意図するところとは異なるかもしれません。その場合は、「書かなければ伝わらない」の好例として、受け止めて頂ければ幸いです)。
一般に、説明対象が相手に未知のものだと、純粋に対象について説明しただけでは理解されないことが多い。相手の理解を得るには、対象と類似の構造を持ち、相手に既知のものと置換・比較しながらの説明が肝要である。従って、日本独自の情報発信に成功するには、相手の文化を英語で語れるかどうかも重要になってくるのだ。(150文字)
e:縦書きの原稿用紙では、英数字も1マスに1語書くことになっています。英数字を1マスに2字ずつ書き入れたければ、原稿用紙は横に使うべきです。
f:これは、「何かに興味を持つというのは自発的な感情だが、英語ではこれを「be interested in~」と受動態で表す。」ということですね? このように受動態で示した方が、原形であるinterestを使って回りくどく説明するより、分かりやすいと思います。
g:より簡潔に説明できます。
h:発信したい内容、つまり自国の文化を知らない、というのは、小論文の論理展開上矛盾があるように思います。ここは結びとして、「先の二つの事例からも分かるように、言語と文化は切り離せない関係にある。従って、英語の語学的側面だけを単独で学ぶのは効率的でなく、やはり英米の文化や歴史と併せて学ぶべきだと考える。」などとしてはいかがでしょうか。
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以上です。文章表現力の向上をお考えなら、今回の修正小論文答案を清書してみることをお勧めします。また、大学時代は、読書の時間が十分に取れる時期だと思いますので、是非いろいろと読んでみて下さい(私も大学生の頃は、暇さえあれば図書館に通っていました)。文章上達のためには、達人の文章を読んだり、真似てみることが重要だと言われています。その結果、ボキャブラリーを増やすこともできます。「難しそうだ…」と思って毛嫌いせず、辞書を片手に、文豪の作品に挑戦されても良いと思います。
WIE西早稲田教育研究所
太田 玲