WIE小論文navi:慶応大添削コメント例[文学部]05年(11)

このコメントは、WIE小論文navi添削講座「慶応大小論文(論述力試験・論文テスト)」で実際に行われたものです。


大学別小論文(慶大 文) 05年-1回目
(添削コメント)
  全体的に良くできていました。設問Ⅰは小論文として十分合格圏に至っていますし、設問Ⅱもあと少しで合格圏に到達できる小論文です。試験本番まであと少しですが、この調子で進めていって頂きたいと存じます。

  それでは以下、個々のコメントです。
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設問Ⅰ
  良くまとめられていますが、文相互のつながりをもう少し緊密にできるはずです。そうすることで、小論文解答者の課題文理解度が深いことをアピールできますので、再提出を利用して、是非この作業に取り組んで頂きたいと思います。

a:読点が不足しています。読点(、)をどこで用いるか、との原則は難しいところですが、文脈が変わる箇所、主部と述部の間、目的語(「~を」で終わる部分)の後には入れておくのがセオリーです。また、一文の中で一カ所も読点がないのは、読み手に対する配慮を欠きます。よほどの短文でない限り、1つは入れておきましょう。
b:この言葉を用いても良いのですが、パラドクスをより適切に説明できる、つなぎの言葉に改めましょう。
  ここでは、「身体的な感覚に個性の根拠を見出そうとする」けれども、「こうした感覚は刹那的なものなので、それに依存した自己は一貫性を保てない」ことを言いたいのでしょう。ならば、ここには逆説的な意味を持つつなぎの言葉がふさわしいはずです。
  以上のヒントをもとに、つなぎの言葉を探して置き換えて下さい。
c:これが波線部c'と同じものであることが示せると、より文章の流れが緊密になります。例えば「このような感覚」のように指示語で前文との関係を明確にするなど、表現を工夫してみて下さい。
d:つなぎの言葉がないため、文脈がとぎれています。「したがって」などのつなぎの言葉を盛り込み、自己が断片化する経緯を、一連の流れに沿って示しましょう。
e:「そして」は、前文と後文とをつなげる単なる糊の役目しか果たしません。これよりも、「最終的に」「結果的に」などの意味を持つ、つなぎの言葉を用いるべきです。
f:これでは、個性が過去に実在していたかのような意味を持ってしまい、課題文との齟齬が生じてしまいます。課題文に沿った表現を心がけましょう。
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設問Ⅱ
  設問の指示に沿い、相談コーナーの回答者として解答をまとめられた点は、非常に評価できます。また、相談者の次元で悩みに回答している点も優れています。
  ただ、難を言えば、「断片化」の構造から彼女を遠ざけるための配慮が若干欠けているように思います。「個性とは何か」という説明に加え、「その場の気分に流されていては、一貫した個性を感じることはできない」ことを説明してあげると、小論文答案としての完成度はより高いものになるでしょう。

a:読点が不足しています。詳しくは設問Ⅰのコメントaを参照して下さい。
b:cの修正で字数が増えますので、そのための字数調整です。
c:確かに、友達による変化は、個性につながる可能性があります。しかし、彼女はまた、「気分次第で自分が変わる」とも言っていますね。これは、課題文筆者の言う、生理的な感覚に依拠した自己が断片化している例ではないかと思われます。したがって、その時々の気分で行動するのではなく、その結果周りの皆は自分をどう思うか、そう思われても本当に構わないかどうか、よく考えてから行動に移すべきことを指摘すべきでしょう。
  なお、友達による変化についても、そのまま受け入れずに、やはり考えることが重要です。結果として友達に合わせても良いのですが、それが自分の本意なのかどうか考えることが、「一貫した自分」を感じる過程につながっていきます。要は、自分の行動方針(=言葉によって構築された思想や心情)を完成させることが、一貫した個性を備えた、「成長した自分」に至る道だということですね。
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  以上です。

WIE西早稲田教育研究所
大学別小論文担当
太田 玲


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