WIE小論文navi:慶応大添削コメント例[文学部]06年(7)

このコメントは、WIE小論文navi添削講座「慶応大小論文(論述力試験・論文テスト)」で実際に行われたものです。


大学別小論文(慶大 文) 06年-1回目
(添削コメント)
  設問Ⅱに関しては、あともう少しで合格小論文答案に到達する内容ですが、設問Ⅰに関しては、設問文および課題文の内容把握が不十分なため、残念ながら評価を低くせざるを得ませんでした。
  今回の問題は、課題文の内容説明に終始しており、純粋な小論文解答者の見解を求める設問はなくなっています。このため、単なる国語の問題と捉えて解答を作成しがちですが、それは間違いです。これはあくまで、「小論文試験」の問題です。
  特に設問Ⅱの小論文解答作成には、国語の問題に顕著な、課題文中の一部抜粋や、傍線部近辺の要約の技術では太刀打ちできません。課題文全体の内容を理解した上で、それを自分なりに再構成し、論理が首尾一貫した1つの解釈を作成するよう求められているのです。この「自分なりに再構成」という部分に、小論文としての要素があると言えるでしょう。

  このことをふまえた上で、個々のコメントをしていきます。
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設問Ⅰ
  視野図云々よりも、「測定不能」という文字に衝撃を受けた理由を問われているのですから、その点をふまえて解答を作成して頂きたかったところです。
  ここでは、「測定社会」の欲望とは何か、それを貫いた結果どのようなことが起こったのかについて、説明を行うことが求められているのです。その結果が「衝撃的」だったということですね。
  今お書きになっている答案の後半部分を生かし、さらに丁寧に説明を行う形で、小論文解答を書き直して再提出して下さい。

a:上に述べた通り、課題文では、「視野図」ではなく、「測定不能」という文字が衝撃的だったわけですから、この部分は不要でしょう。
b:上にも述べた通り、この部分について、具体的にどういうことか説明することが、合格小論文答案となるための第一歩です。
  「測定社会」とは具体的にどういうものか、分かりにくいかもしれませんので、ヒントを差し上げておきます。課題文4/8ページ上段に、「人間が自分たちをとりまく世界を対象化し、切り分け、支配統制することの上にのみ存立してきた社会」とありますね。これこそ、「測定社会」の具体的ありように他なりません。自分たちの周りにある自然を対象化し、計算・計量によって操作、利用してきたということですね。この姿勢を貫いた結果、最終的には人間までもが対象化され、切り分けられ、支配統制されてしまいました。その結果として、「測定不能」の生活破壊が生じたという関係になっています。
c:「測定社会」がその欲望を貫いた結果、「測定不能」の生活破壊が生じたというのは、多分に逆説的ですね。この点についても触れられると、小論文答案の完成度はさらに高まります。
  合格小論文答案となるための必須条件ではありませんが、検討してみて下さい。
d:確かに症状が進行し続けるというのは衝撃的ですが、「測定不能」という文字に直接関係のあることがらではありません。したがって、設問の要求からは若干外れますので、答案からは削ってしまいましょう。
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設問Ⅱ
  ここは、課題文の記述をもとに、「失明した社会」とはどのような社会のことかについての、ご自身の解釈を示すことが求められています。現状では、課題文中に述べられている社会の説明としてはよくまとまっているのですが、「失明した」という点を適切に説明できていません。
  再提出の際は、「失明」に対応する社会の状態を明確に述べた上で、課題文の記述を適宜用いつつ、ご自身がそのように解釈した根拠をまとめて頂ければ、合格小論文答案となります。

a:「失明した社会」と言うからには、「何かが見えなくなった」、あるいは「何かを見る(感じる)力を失った」社会といったように、「失明」との関連を明確に示さなければならないのですが、その点に配慮した小論文答案になっていません。
  まずは「失明」をどのように解釈するかを明確にし、その上で、そう考えた理由を裏付けるものとして、課題文の記述の中で該当するものを挙げながら「失明した社会」について説明して頂ければ、合格圏の小論文答案となるでしょう。
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  以上を参考に、答案を修正して再提出して下さい。

WIE西早稲田教育研究所
大学別小論文担当
太田 玲


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