WIE小論文navi:慶応大添削コメント例[法学部]05年(5)
このコメントは、WIE小論文navi添削講座「慶応大小論文(論述力試験・論文テスト)」で実際に行われたものです。
大学別小論文(慶應・法) 05年-2回目
再提出して頂いた小論文答案を拝見しました。前回よりも答案の水準は向上していますが、まだなお詰めの甘さが残っている小論文です。詳細は以下で検討して参ります。
■ 答案に書き入れました赤字が改善すべき点です。abc……の記号に対応するコメントは下段に記入してありますのでご参照下さい。記号のない箇所については、単純な誤記や分量調節のためのものです。
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a 問題になるのは、仕組み(=選挙によって選ばれた人が政治を行うこと)そのものではなく、「共通善」を実現しようとする意識のもとで政治が行われているのかどうかということです。
「国民の意見などは無視(答案※)」とありますが、前回も説明したように、暴政のもとでも、一部の国民の望みは達成されていたのですから、論点として不適切です。
小論文答案のこの部分は次のようにしてみたらどうでしょうか。
【修正例】
だが、現実の日本では、選挙で選ばれた国会議員が、「共通善」つまり、国民全体の利益を目指して政治を行っているとは限らない。その原因は、そもそも、選挙で代表者を選ぶ国民自身が、「共通善」とは何かを意識せずに、投票行動をしているからであり、また代表者である議員を、国民の代表としてふさわしい「共通善」を目指した政治を行っているのかどうかという視点から監視していないからであろう。(187文字)
b 現在のイラクは、紛争地帯あるいは、内戦状態にあるとは言えるものの、他国と戦争を行っているとまでは言えません。従って、「イラク戦争」は表現として不適切です。
c イラク特措法(法律)が、憲法違反であるとの指摘があるのは事実です。しかしながら、イラクに対する自衛隊の派遣は、イラク特措法(法律)で認められたものです。従って、イラクに対する自衛隊の派遣を法律違反と評価した現在の答案は誤りを含むことになります。
d 参考までに、「イラクに対する自衛隊の派遣」・「憲法9条」・「共通善」の関係をより綿密に説明する文章を提示しておきます。
【修正例】
イラクへの自衛隊の派遣は、イラク特措法に基づき実施されたが、このイラク特措法は、憲法9条に違反している疑いがある。憲法9条には、他国を攻撃するための軍隊を所有しないことが記されており、これは、世界平和を願う世界の多くの人々から尊敬の念を持って受け入れられていた。
しかしながら、憲法9条を軽視して、自衛隊をイラクに派遣してしまったことで、中東を始め世界の多くの人々が日本が本当に平和を願っているのか疑問を持つようになってしまった。これは、日本国民全体にとっての不利益である。こうしたことから、イラクへの自衛隊の派遣は、日本国民の共通善に反した政治行動であったと言える。
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添削コメントは以上です。
西早稲田教育研究所
受験小論文講座担当
中島 泰平