WIE小論文navi:慶応大添削コメント例[経済学部]06年(3)
このコメントは、WIE小論文navi添削講座「慶応大小論文(論述力試験・論文テスト)」で実際に行われたものです。
大学別小論文(慶大 経済) 06年-2回目
再提出していただいた小論文答案を拝見いたしました。
①②ともに初回提出から合格圏の小論文でしたが、再提出ではさらに前進した内容になっています。したがって、致命的な減点になるような箇所はありません。
細かいコメントが多くなりますが、今後の参考にしていただきたいと思います。
今回も、小問ごとに検討して参りましょう。
①
前回のコメントを参考に、概念の関係付け=論旨の構成を改善していただきました。このため、初回提出の小論文より高く評価できる答案になっています。
ただ、まだいくつか論旨の構成に改善の余地があります。いずれも細かいものであり、国語表現の問題と言うべきかもしれませんが、私ならこうするという視点で、改善を考えてみました。
a 現在の記述でも減点にはなりませんが、ほぼ同じ概念の関係をより短く書くことが可能です。
小論文を書き慣れないうちは、課題文の内容把握であれ、解答者の見解であれ、書くことが見つからない=分量不足の問題が深刻です。しかし、小論文を書く力が向上してきますと、今度は「書きたいことの過剰」に悩まされることになります。初回提出から合格答案の書けるA様は既にこの段階だと申せます。
この対策は、基本的には構想のメモの段階で、盛り込むべき重要概念の優先順位を考えることです。しかし、文章の技術として「短く書く」能力もありますと、取り上げている概念が豊富で、かつその関係付けが精密な小論文が可能になります。いわゆる深い考察を示すことになります。
また、短く表現することで、論旨もより明確になると思います。
b この部分は、余計な限定をしたために、概念の関係=論旨が読み取りにくくなっています。「妊娠中絶」が認められる条件が、緩やかな場合を述べているのですから、認められない条件を挙げますと、かえって混乱すると思います。
c bと関係しますが、「いろいろ」だけでは、解答者(A様)が「妊娠中絶」を認める場合も含まれるでしょう。解答者は、簡単に「妊娠中絶」が行われることを批判しているのですから、この論旨が明確になるように小論文での使用概念を選定しましょう。
d cとの関連です。「いろいろ」な場合が全て悪いわけではありませんね。
e ここで、「親の生命や身体」といった、「妊娠中絶」を認めても良い条件を明確にしてみました。現在の「母親が死ぬ」でも、大きな減点にはならないでしょうが、生命を失わなくとも、重大な障害が残るような場合も考えられますね。
②
①の改善と併せて手を入れていただきましたので、こちらは文句なしの合格圏小論文です。ここも、私ならこうするといったコメントをしてみました。
a 「(に)も」という助詞は、他に並行する事象がある場合です。ここは、「守る」以外の目的を挙げていませんので、使用しない方がよいでしょう。
以上です。
今回は、コメントが少なくて申し訳ないぐらいです。
西早稲田教育研究所
大学別小論文講座
担当 西田 京一