WIE小論文公開講座-オリエンテーション-

この「公開講座」は、以前「入門小論文」として開講していたものです。小論文入試に取り組むみなさんのために、テキストのみをサイト上で公開することにしました。

コンセプト

※現在の「入門小論文」は、内容を改めて開講中です。
受講を希望される方は、こちらの『基礎力養成講座-入門小論文』よりお申し込みください。

小論文公開講座にようこそ

今日はWIEの小論文講座を覗いて下さり、ありがとうございます。ここでは、小論文で問われていることはなにか、対策はどうするかについて述べ、この講座全体のオリエンテーションをします。
WIEでは、全体の構造の書かれた「地図」を持って学習を進めていく、というのが基本コンセプトです。まず「小論文とは何ものか」「そこでは何が要求され、どう対応すればよいのか」を見ていきましょう。

(小)論文とは何か

 どの参考書にも「小論文とは何か」「作文とは違(ちが)う」……といった解説が冒(ぼう)頭(とう)にありますので、「またか」と思われたことでしょう。しかし、「論じなさい」「考えを述べなさい」といった設問の要求に対して、論文以外のものを提出しても、ほとんど評価されません。そうならないためにも、基本を確認しておきましょう。
 そもそも論文とは、①一定の論題(テーマ)に沿って、②筆者(=解答者)の考え(主張・見解)を、③事例など論拠(理由)を示しながら、述べるものです。この3条件を満たした文章は、長短に関係なく論文です。
 入試小論文では、①は出題者が指定します。設問が要求している論題に対応していない答案は、評価の対象外です。
 ②を誤解してる受験生が少なくありません。WIEに提出される答案を見ていますと、①に関する他者の議論を紹介しているだけで、解答者自身の考えがない、という答案が多いのです。逆に、誰も思いつかないことを言おうとして、突拍子もない主張・見解をのべ、その結果③の論証ができなくなっている答案もあります。
 ②の見解を述べても、③に当たるその論拠(理由)を示していない答案もしばしば見受けられます。これでは解答者の意見表明・感想発表ではあっても、読者(入試では採点者)から合理的・理性的な同意・納得を得るという論文の目的を達成できません。なお、論拠ではなく、解答者の心情を詳しく書いている例も答案もありますが、論文は読者の感動・共感を目的とするものではありません。これも論文の要件を満たしていない文章です。

小論文入試で評価される能力とは何か

 では、以上のような条件を満たす(小)論文を書かせることで、出題側は受験生の何を評価しようとしているでしょうか。それは、1)作文能力、2)文章読解力、3)論理的思考力の3つです。以下、それぞれについて簡単に見ていきます。
1) 作文能力
 小学校以来おなじみの文章を作成する能力です。最近の若者は、自分の考えを文章で表現することが苦手だ、といわれています。身近な仲間内で使っていることばをそのまま答案で書いてしまう人や、主語述語の対応など基本的な構文が怪(あや)しい人もいます。
 確かに、携帯電話やスマートフォンでは、音声ではなくメール機能などを用いた文字での情報交換がむしろ主流になっています。しかし、その文章の多くは、仲間内だけで通用することだけを目指しており、論文には不向きなものです。その結果、大学でのレポート、さらには企業内での報告書や企画書まで、書き手とごく親しい人以外には理解不能、といったことがしばしば起きています。
 この作文能力は、「論文の3条件」には入りませんが、人に何かを伝える文章を書くための基礎です。大学側は、この能力に問題のない学生を求めています。
2) 文章読解力
 小論文入試では、課題文(資料)を読ませる形式が一般的です。これに対しては、論理的な文章の内容を読み取る能力が必要です。これは、一般教科の入試、特に現代国語や英文解釈でも要求される能力ですが、小論文入試では、より高度な読解力が要求されます。たとえ課題文の見解や主張が常識とは異なるものでも、解答者は、論理的な手続きによって理解しなければなりません。
3) 論理的思考力
 これは、論題を論理的・批判的に考える能力、そしてそれを文章に表現する能力です。1)2)は一般教科でも問われますが、3)は小論文入試固有のものです。
 これを細かく分析しますときりがありませんが、高校生が躓きやすいのは、主張・見解と、その論拠との対応を把握することです。これが出来ませんと、課題文の読解ができないばかりか、自分の見解を論証する論拠が示せなくなります。
 本講座の目的は、この三つの力を確実に身につけることです。ですからそのポイントも、この三点になります。

小論文の出題傾向

 志望される大学を決め、そこの入試に小論文があることを知って、早速、本屋さんの小論文対策のコーナーに行ってみたみなさんも多いでしょう。そこには、迷うどころかうんざりするほどの小論文対策用の参考書や問題集があったはずです。これらたくさんの本のなかでは、それぞれ小論文の出題傾向が分類され、勉強方法そのほかの対策が書かれています。何冊か買ってきたみなさんの中には、どれが正しいやり方なのか、迷ったり不安になったりした人もいるかもしれません。もちろんどの分類にもそれなりによい点があるのですが、本講座では、とにかく実際に例題や過去問を解きながら、小論文を書けるようにする、という目的のために、一番有効な分類方法をとります。以下にそれを掲げますので、みなさんの志望校がどのタイプなのかを考える手引きにして下さい。

1)問われている内容からの分類

①受験生の個人的な体験や感想・意見をもとめるもの
よく、「論文」ではなくて「作文」である、といわれるタイプのものです。とにかく、あなたの個人的な考えを日本語として正しく書けているかどうかがポイントで、その考えが正しいか間違っているかは問題にされません。もちろん殺人や盗みを肯定するような文章を書けば、文章力以前の問題として、人柄を疑われてしまうでしょう。その意味では「個人的」といっても、最低限の社会性(常識と言い換えてもいいでしょう)は必要になります。

②自分の考えを、客観的な根拠をあげながら述べるもの
これを要求されていれば、まさに「小」なりとはいえ、「論文」を書かなければなりません。「小論文で要求されることは」の③で述べた、感想文や説明でなく「議論」として書く、という力があるかないかが採点の基準になります。したがって、出題で取り上げられている分野に対する知識も必要ですが、それ以上に、読者(入試問題ですから採点者)を説得するように書かなければいけないということです。今の傾向としては、どちらかというとこちらのタイプの方を苦手とする人が多いようです。

2)出題の形式から分類

①テーマだけが与えられているもの
近年の出題でいえば「高校時代の思い出」(岡崎女子短大)とか、「『私(わたし)』について書け」(日本獣医畜産大学獣医学科)など、小論文のテーマだけが与えられるタイプです。特殊な知識や経験がなくても書ける内容のものと、「朝の食卓」(宇部短期大学食物栄養学科)」のように、単なる個人的な体験や意見を求めているのか、入学後の専門分野に多少とも関連する知識を問うているのか、微妙な出題もあります。

②課題(文章に限らず、図表やマンガを含む)を読んだ上で、それに関して論ずるもの
このタイプが現在では多数派になってきました。自分の考えをまとめる前に、課題の内容の理解が必要になります。また、課題文が述べている分野に対する一般的な知識も要求されます。①のタイプとどちらの方が答えやすいか、個人差はありますが、課題を読み解く労力がかかる分、また課題文が取り上げている分野に関する知識が必要な分、こちらの方が難しく感じる受験生が多いようです。

3)書く分量の多少

①およそ800字未満の制限字数
推薦入試の小論文はほとんどこのタイプです。この場合、それほどつっこんだ議論はできませんし、段落をいくつもうけるかなどの文章の工夫の余地も少なくなります。単純に文字数が少ないから楽だ、というだけでなく、書き方の面でもこの程度の字数だと、ぐっと書きやすくなると言えます。

②800から1000字以上の字数
①とは逆に、この程度より多い字数を書くことを要求されると、内容の深さや文章の構成に配慮しなければならない度合いがずっと高まり、技術的に難しくなってきます。

4)その他のタイプについて

その他に文中で使用しなければいけない語句の指定があるものや、あらかじめ解答の書き方に「課題文の考え方を要約してから、あなたはそれに賛成か反対かを明らかにした上で、○○について論じよ」などの細かい注文がついているものなどがあります。また、課題文が英語であったり、図や表の形のものがありますが、解答の仕方や問題の難しさにほとんど影響しませんので、具体的な問題文を解いていく過程で、ふれることにします。

本講座の構成(カリキュラム)

 この講座では、最短の時間で、小論文が書けるようにします。大学・短大の推薦入試などを目指すみなさんには、これで十分な力がつくようにした講座です。取り上げる出題例は、原則として課題文がないか、あっても短いものです。また解答字数は1000字以内、制限時間も60分ぐらいのものです。したがって、先に述べた「小論文で評価される能力」のうち、2)については、あまり要求されず、1)、3)ができていれば良い、ということになります。ただし、国立大学の後期日程や有名私立大学のAO入試などを志望する人でも、作文そのものが苦手な人はこれをまずやってみることをお勧めします。なお、推薦入試の場合、試験までの時間が短いですから、講座の中にある練習問題の代わりに、自分の志望校の過去問や予想問題をやってもかまいません。

本講座は、3回の講義からなります。各回のそれぞれには、原則として1つずつ大学入試問題をつけます。
小論文学習の秘訣

 

具体的な本講座の構成は、以下のようになっています。

第1回 ともかく書いてみよう

まず、「課題文のない」タイプの小論文を書いてみましょう。原稿用紙の使い方を説明した後、「書くこと」をどうやって決めるか、どういう順番で書くか。さらに読みやすい全体の構成はどうしたらよいのか、実際に試験場での手順や時間配分を説明します。

第2回 課題文をどう処理するか

「課題文付き」の場合を説明します。課題文の読み方とまとめ方、課題文からどうやって書くことを決めるか、についての講義です。

第3回 よく出る出題例

推薦入試の出題例を、タイプ別に収録してあります。

「入門小論文」現行版の添削は、こちらからお申し込み下さい。


・講座開始のご案内 (2017/6/26)  ≫詳細