WIE小論文公開講座-オリエンテーション-

この「公開講座」は、以前「入門小論文」として開講していたものです。小論文入試に取り組むみなさんのために、テキストのみをサイト上で公開することにしました。

コンセプト

※現在の「入門小論文」は、内容を改めて開講中です。
受講を希望される方は、こちらの『基礎力養成講座-入門小論文』よりお申し込みください。

小論文公開講座にようこそ

今日はWIEの小論文講座を覗いて下さり、ありがとうございます。ここでは、小論文で問われていることはなにか、対策はどうするかについて述べ、この講座全体のオリエンテーションをします。
WIEでは、全体の構造の書かれた「地図」を持って学習を進めていく、というのが基本コンセプトです。まず「小論文とは何ものか」「そこでは何が要求され、どう対応すればよいのか」を見ていきましょう。

どうして小論文試験が課されるのか

 かつては、珍しい出題形式とされた小論文も、小論文で受験できる大学が増えてきました。なぜ、こんなに小論文が重視されるようになってきたのでしょうか。
考えられる理由の一番目は、大学の学問の変化です。たとえば、20年前、いや10年前の受験雑誌や「赤本」の類を見たとしましょう。そこに書かれた大学の紹介を見ると、法学部・経済学部・文学部……あるいは理系なら医学部・工学部・理学部……といった学部や学科の名前ばかりならんでいます。これらの学部は、大げさに言えば中世ヨーロッパ(!)以来、少なくとも20世紀の初頭にはすでに存在していたものなのです。では今の大学はどうでしょう?……国際コミュニケーションとか人間科学とか、従来の「学問」のジャンルでは割り切れない、あるいはいくつかの分野にまたがるような学部や学科が増えていますし、こうした学部・学科が受験生にも人気があるようです。では、なぜこうした学部・学科が生まれたのでしょうか?
これは、社会が大きく変化するなかで、従来の考え方では捉えられないような新しい問題があらわれ、それに対応するためなのです。こうした分野では、従来の学問のジャンル(結局高校の「教科」もそこから派生したものにすぎません)にとらわれていては、研究は進みません。そこで求められるのは、古くなってしまった分野ごとの知識ではなくて、いきなり見たこともないような問題に直面しても、それを正しく理解し、自らの考えをまとめていく力です。そして実は、こうした能力があるかないかを見るのに最適な方法が小論文なのです。
また、これに劣らず重要なのが、高校で科目の選択制が広まったことです。このため、化学は習ったが、物理はやっていない、また日本史は選択したが地理はとらなかった、という高校生が増えています。では、大学入試において、地理で70点とった受験生と日本史で69点の受験生がいたとして、単純に70点の学生の方が優秀といえるでしょうか?……そうとは言い切れませんね。これでは、少しでも優秀な学生がほしい大学としては困ってしまいますし、たまたま受験の時に選択した科目の問題が難しかった受験生も、たまったものではありません。こうした問題を起こさないようにするためにも、小論文入試は増えてきたのです。

小論文で要求されることは

 みなさんにはもうおわかりでしょうか?これまで述べたように、小論文で問われているのは、「何か特定の分野に関する知識」ではなく、「どんな問題を出されても対処できる能力があるか」なのです。さらには、「その能力を他人にも理解できる、そして説得力のある形で表現できるか」ということも、また求められているのです。

このことを整理すると、次の4点にまとめられます。実際に小論文を書く手順にしたがって挙げていきましょう。

①与えられた問題の意味がわかっているか

何を題材にして小論文を書いてもよい、といった出題はまずありません。出題側が、重要だと思うことについて聞いてくるわけですから、まず出題側の意図をくみ取らなければなりません。課題文がある(「つぎの○○を読んで、~」という形のもの。これが出題パターンとしては多数派)ならば、その課題文の論旨を読み取らねばなりません。具体的には、要約できればよいと考えて下さい。課題文がない(「○○について、あなたの考えを述べなさい」という形のもの)であっても、そこで論じなければならないことは何なのか、自分の知識や体験の中から出題テーマにあったものを探してこなければならないわけですから、やはり、問題の意味がわかることが必要です。

②自分のテーマを発見する、言い換えれば、「書くことを見つける」

ここが、小論文が書けるか書けないかの分かれ道です。多くの受験生が「書くことが見つからない」「何を書いたらよいのかわからない」と悩んでいるようです。それだけにここがクリアーできれば、半分は書けている、と言ってもよいでしょう。
「書くこと」を見つけるためには、課題文の論旨を読み取りながら「そうだ」と思うか「そうかな」と思うか、に注意して下さい。なぜ「そうだ(肯定)」あるいは「そうかな(否定)」と思ったのか。その理由になる具体例を自分の体験なり知識から持ってくれば、それが自分のテーマになります。課題文のないタイプの出題の場合、①の段階で「こういうことを聞いているのか」「これを書けということかな」とみなさんが思ったことが、テーマになるのです。

③感想文や説明でなく「議論」として書く

小論文とはいえあくまでも求められているのは「論文」です。論文とは自分の考えを表明するだけでなく、「議論」「論争」をするためのものです。言い換えると、より多くの人に理解してもらい、さらには賛成してもらうためのものです。ですからそのためには、自分の好き嫌いや感想を述べるのではなく、適切な例をあげて、なぜ自分の考えが正しいのか、読者(この場合大学の採点者)を説得しなければならないのです。もちろん、結論が採点者の考えと一致しなくともかまいません。それよりもその説得の手続きが適切かどうかです。結論よりも、そのプロセスが大切なのです。これは、数学の証明問題で答えの数字が間違っていても、証明過程があっていれば得点をもらえるのと同じことで、小論文の場合、つきつめると結論はどうでもよくて、証明過程だけ見ている、と言えるのです。

④文章が正しく書けているか

最後に日本語の書き方として正しいかどうかです。これもいわゆる誤字・当て字や句読点の使い方などの初歩的なものから、文章の構成(課題の要約→論点の提示→具体例→結論といった文章の組み立て)の善し悪しまで含みます。

本講座の目的は、この4点の力を確実に身につけることです。ですからそのポイントも、この4点になります。

小論文の出題傾向

 志望される大学を決め、そこの入試に小論文があることを知って、早速、本屋さんの小論文対策のコーナーに行ってみたみなさんも多いでしょう。そこには、迷うどころかうんざりするほどの小論文対策用の参考書や問題集があったはずです。これらたくさんの本のなかでは、それぞれ小論文の出題傾向が分類され、勉強方法そのほかの対策が書かれています。何冊か買ってきたみなさんの中には、どれが正しいやり方なのか、迷ったり不安になったりした人もいるかもしれません。もちろんどの分類にもそれなりによい点があるのですが、本講座では、とにかく実際に例題や過去問を解きながら、小論文を書けるようにする、という目的のために、一番有効な分類方法をとります。以下にそれを掲げますので、みなさんの志望校がどのタイプなのかを考える手引きにして下さい。

1)問われている内容からの分類

①受験生の個人的な体験や感想・意見をもとめるもの
よく、「論文」ではなくて「作文」である、といわれるタイプのものです。とにかく、あなたの個人的な考えを日本語として正しく書けているかどうかがポイントで、その考えが正しいか間違っているかは問題にされません。もちろん殺人や盗みを肯定するような文章を書けば、文章力以前の問題として、人柄を疑われてしまうでしょう。その意味では「個人的」といっても、最低限の社会性(常識と言い換えてもいいでしょう)は必要になります。

②自分の考えを、客観的な根拠をあげながら述べるもの
これを要求されていれば、まさに「小」なりとはいえ、「論文」を書かなければなりません。「小論文で要求されることは」の③で述べた、感想文や説明でなく「議論」として書く、という力があるかないかが採点の基準になります。したがって、出題で取り上げられている分野に対する知識も必要ですが、それ以上に、読者(入試問題ですから採点者)を説得するように書かなければいけないということです。今の傾向としては、どちらかというとこちらのタイプの方を苦手とする人が多いようです。

2)出題の形式から分類

①テーマだけが与えられているもの
近年の出題でいえば「高校時代の思い出」(岡崎女子短大)とか、「『私(わたし)』について書け」(日本獣医畜産大学獣医学科)など、小論文のテーマだけが与えられるタイプです。特殊な知識や経験がなくても書ける内容のものと、「朝の食卓」(宇部短期大学食物栄養学科)」のように、単なる個人的な体験や意見を求めているのか、入学後の専門分野に多少とも関連する知識を問うているのか、微妙な出題もあります。

②課題(文章に限らず、図表やマンガを含む)を読んだ上で、それに関して論ずるもの
このタイプが現在では多数派になってきました。自分の考えをまとめる前に、課題の内容の理解が必要になります。また、課題文が述べている分野に対する一般的な知識も要求されます。①のタイプとどちらの方が答えやすいか、個人差はありますが、課題を読み解く労力がかかる分、また課題文が取り上げている分野に関する知識が必要な分、こちらの方が難しく感じる受験生が多いようです。

3)書く分量の多少

①およそ800字未満の制限字数
推薦入試の小論文はほとんどこのタイプです。この場合、それほどつっこんだ議論はできませんし、段落をいくつもうけるかなどの文章の工夫の余地も少なくなります。単純に文字数が少ないから楽だ、というだけでなく、書き方の面でもこの程度の字数だと、ぐっと書きやすくなると言えます。

②800から1000字以上の字数
①とは逆に、この程度より多い字数を書くことを要求されると、内容の深さや文章の構成に配慮しなければならない度合いがずっと高まり、技術的に難しくなってきます。

4)その他のタイプについて

その他に文中で使用しなければいけない語句の指定があるものや、あらかじめ解答の書き方に「課題文の考え方を要約してから、あなたはそれに賛成か反対かを明らかにした上で、○○について論じよ」などの細かい注文がついているものなどがあります。また、課題文が英語であったり、図や表の形のものがありますが、解答の仕方や問題の難しさにほとんど影響しませんので、具体的な問題文をといていく過程で、ふれることにします。

本講座の構成(カリキュラム)

 この講座では、最短の時間で、小論文が書けるようにします。大学・短大の推薦入試などを目指すみなさんには、これで十分な力がつくようにした講座です。取り上げる出題例は、原則として課題文がないか、あっても短いものです。また解答字数は1000字以内、制限時間も60分ぐらいのものです。したがって、先に述べた「小論文で要求されること」のうち、①③については、あまり要求されず、②④ができていれば良い、ということになります。ただし、国立大学の後期日程や有名私立大学のAO入試などを志望する人でも、作文そのものが苦手な人はこれをまずやってみることをお勧めします。なお、推薦入試の場合、試験までの時間が短いですから、講座の中にある練習問題の代わりに、自分の志望校の過去問や予想問題をやって、 送ってきてもかまいません。 同じように添削して返送します。

本講座は、3回の講義からなります。各回のそれぞれには、原則として1つずつ大学入試問題をつけますので、添削をご希望の方はお申し込みの上、解答して送って下さい。解答は、WIEでコメントをつけた上で返しますので、そのコメントにしたがって書き直した上、再度提出しましょう。なお、一回目が優秀だった場合には、「再提出不要」と記入します(これはめったにありませんので、念のため)。
なお、講座の受講期間中は、いつ解答を送ってきてもかまいません

小論文学習の秘訣

 

具体的な本講座の構成は、以下のようになっています。

第1回 ともかく書いてみよう

まず、「課題文のない」タイプの小論文を書いてみましょう。原稿用紙の使い方を説明した後、「書くこと」をどうやって決めるか、どういう順番で書くか。さらに読みやすい全体の構成はどうしたらよいのか、実際に試験場での手順や時間配分を説明します。

第2回 課題文をどう処理するか

「課題文付き」の場合を説明します。課題文の読み方とまとめ方、課題文からどうやって書くことを決めるか、についての講義です。

第3回 よく出る出題例

推薦入試の出題例を、タイプ別に収録してあります。 自分の志望にあったものを選んで、解答して下さい。もちろん、自分の志望校の過去問が手に入るなら、それに取り組んで送ってもかまいません。この回ではいずれの場合でも、合計3題まで添削します。

「入門小論文」現行版の添削は、こちらからお申し込み下さい。


・講座開始のご案内 (2010/3/29)  ≫詳細