業務の見直し

昇進昇格試験

課題

業務の見直し

 あなたは組織単位での管理補佐業務を遂行する立場であり、グループのリーダーとして、小組織の運営が期待されています。

※1XX経営計画の達成に向けて、あなたの所属する部署の活動目標のなかで、あなたが重点的に取り組んでいる課題を挙げ、その問題点、解決策について、受験等級で期待されている役割を踏まえ、どのようにリーダーシップを発揮していくか、

※2上長補佐の視点も含めて具体的に述べなさい。


文例案

 私の所属する製造○課は、生産ラインの最終工程である。したがって製品のQCD(品質・コスト・納期)に対し、重い責任を持つ。そのなかで監督者である私は、係長・主査・課長の上長を補佐しつつ、人員管理・品質管理・進捗管理を担当している。またこの管理業務と並行して、コスト低減など生産性向上を図ることも、私の重要な業務である。

 XX経営計画では、△△市場の拡大と確立・□□市場での拡大・生産性向上・企業文化の醸成と人財開発・SDGs推進が柱とされる。その中でわれわれ製造○課が重要な役割を担うのは生産性の向上である。特に近年の法律改定による価格の抑制、原材料の高騰など、我が社の収益を圧迫する要因が強まっている。これを克服するためには、新技術を動員した生産性の向上が不可欠だからである。

 この製造○課の組織目標に対し、私は故障強度率の低減に重点的に取り組んでいる。この故障強度率は、設備が本来稼働する予定の時間(負荷時間)を分母とし、故障により設備が停止した時間を分子とする数値である。この値は単なる故障の発生件数ではなく、その影響の大きさを停止時間として盛りこむ、したがって故障強度率の低減は、いわば総量として故障による生産阻害を軽減することになる。

 この取り組み以前である昨年度の故障強度率は、X%であった。すなわち、100時間の負荷時間に対し、X時間も故障停止状態にあったのである。故障停止発生の製品は品質低下が発生している可能性が高い。したがって製造事故では、破棄する商品のコストも加わり、これも生産性を阻害する要因である。

 そこで、本年度は故障強度率△%へ低減させることを重点課題とした。この目標達成で、大きな障害となるのは、製造○課全体の課題解決能力の低さである。具体的には、これまで設備改善や工程管理の見直しなどの改善活動・生産性向上に向けた取り組みは、個人・グループ単位となっており、部署全体に対して横断的に働きかける視点・機能が不足していたのである。

 そのため製造○課全体として、解決手法も統一されておらず、いわば局地戦として個々の業務・設備に対し改善を試みていたのみであった。したがって、あるグループや個人がある問題を解決してもその情報を共有せず、他のグループ・個人が類似した問題に直面したときに、当事者が一からその解決を図る、という状態であった。こうした非効率のために、部署としての課題解決能力が低水準で停滞していた。

 この解消のために、改善・分析手法としてDefine(定義)、Measure(測定)、Analyze(分析)、Improve(改善)そしてControl(定着)を常に確実に踏む、DMAICを導入することとした。現在は、DMAICの教育会を製造三課の全員に実施している。そこでは座学とOJTを併用し、各自の持つ課題や思いに対し、DMAICを適用して、全員の参画意識を向上させている。

 具体的には、それぞれの社員が持つ“思い”や“あるべき姿”を定義(D)・記述した上で、それをMに対しての測定(M)・分析(A)する。このように課題を客観化・共有化した上でその改善(I)を考える。その結果、どのような問題に対しても適切な手法でアプローチでき、思考能力・課題解決能力が向上する。

 各チームには、2018年度の上位トラブル4項目の対応をテーマとし振り分け、これらに対しDMAICの手法で改善を進めることを目標とした。なお、この活動では係長や監督者だけでなく、部下の優れた報告を必ず褒め採用する。彼らに成功体験により自信を持たせるとともに、成果を挙げれば周囲から信頼を得られることを学ばせる。

 さらに、こうした思考手続きとは別に、必要な知識・技術・ツールは、技術部門と情報共有する。このことで、個々人が思い込みに陥らないようにうする。さらに解決策が得られたら、部署全体で共有し定着(C)する。このように問題解決の手法が統一されることで、問題の背景や結論に至った過程を簡単に共有でき、部署全体への展開が効率的になる。

 すでにこの成果は現れており、いくつかの改善策が部署全体で共有されている。今後は、統計学やMinitabの使用方法についても全員参加の教育会を実施していく。様々なデータを科学的に分析できることで、トラブルの背景にある原因を今までとは違う視点から分析し、アプローチできるようになることが狙いである。今期からの開始を目標とし、上司の意向・希望を盛りこみつつ、私自身が講師として教育計画の策定を進めている。

 さらにこうした取り組みは、単に製造工程の効率化、生産性の向上だけに止まらない。問題解決力の高い社員を養成するという人財育成としての意義も大きい。こうした優秀な社員が増加することで、今後の技術革新や経環境変化に柔軟に対応できる組織になる。(1986字)

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