昇進・昇格試験の解答例7

2) 会社目標・業務計画への貢献・参与

課題

 自身が考える患者中心の活動とは(1000~1200字)

文例案―製菓会社MR

 私は営業本部に所属し、血液領域専門MRとして○○○○地域のエリアマーケティングを主たる業務としている。当社は今後3年間で血液がん領域にて新製品2品を上市し、適応拡大を予定している。新製品の対象はリンパ腫3次治療以降であり、この段階の患者は既に長期の闘病を経て、大きな不安を抱えている人が多い。したがって、単に薬品の効果や安全性のデータを示すだけではなく、患者個々人の不安にどう答えるかが、新製品普及の重要な要素となる。さらに今後も医療の高度化に伴い、不安を抱えながら長期間投薬を受ける患者の増大が予想され、精神面を重視し心に寄り添う患者中心の活動が重要になる。
 これまで、エリアごとに大学や関連施設の医療環境や処方傾向を調査分析し、患者を年齢・性別その他の指標でセグメントに分け、その特性に適した製品を紹介してきた。しかし、患者志向プログラムを受講し、またリンパ腫の患者から直接話を聞いたことで、この方法では患者の心に寄り添うには不十分だと気づいた。
 なぜなら、患者個々人の医療に対する考えや気持ちは多様で、しかも一人の患者でも時期によって変わるからである。セグメント単位の分析ではこの多様性と変化を把握できていなかった。「外からエネルギーをもらうと前向きになれる」「治療中は気持ちから痛みもくる、話を聞いて欲しい」という患者の言葉から、個人の気持ちに寄り添い共感することが、前向きに治療を受けることにつながると知った。
 今後は、まず社内で私たちMRが直接患者の声を聴く機会を増やす。具体的には、毎月の支店血液領域会議で患者の声を拾い上げ共有する活動を行う。これには、担当者に寄り添い共感することの大切さを気づかせるという、人材育成の意味もある。
 日常業務でも、支店のイベント立案時に、ディスカッションでは患者の性格や心境変化などを背景に加えて考える機会を作る。さらに患者の関心が高く、一番不安を感じている有害事象に関しては、本社や安全性本部などと連携して、迅速に対応出来る体制を整える。こうして得られた情報は、私が主導してデータベース化する。そして患者が求める対応は何か、逆に私たちがしてはいけない行動は何かを整理し、日常的な行動指針にできるようにする。
 社外では、医療従事者との面談の際、治療効果だけではなく患者の反応も聞き出すようにする。多忙な彼らが、患者の気持ちを話題することは少ない。しかし、社内のデータや情報を提供することで、医療従事者にも患者の気持ちに注目してもらえる。そして、患者の状態や刻々と変化する気持ちを確認し、私たちと共有することで、意見や情報量の差をなくす。さらに医療機関と定期的に対話することで、患者の想いに寄り添った治療を考え私たちと実践してもらう。
 以上の活動を私が率先して行うことで、社内並びに医療現場を変革し、一人でも多くの患者の心に寄り添った製品を届ける。(1186字)

◎ここに示した考え方で、文章例を希望される方は模範文例作成で承ります。

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